施設入所から一年
母が老人介護施設に入所してからもうすぐ一年が過ぎようとしている
一年前の母は寝返りも打てず、もちろん自力で座っていることも出来ず
リハビリをするたびに発熱し、体力は消耗する一方だった
病院の相談員さんが探してくれてリハビリ専門病院に転院の予約も取れてはいたのだが、リハビリ専門病院で辛いリハビリをすることが本当に母のためなのか、それとも老人介護施設でゆっくりと毎日を過ごした方がいいのか・・・
高齢の母のことで葛藤の日々だった
リハビリはもっとも大切なことと医師からは言われていたし、本人もリハビリを我慢して受ければ元のようになると信じて頑張ってはいたものの衰弱した体は正直でそれに耐えることはできなかった
病院ではギラン・バレー症候群の、しかもリウマチもちで78歳と高齢のリハビリの経験は無かったらしく、リハビリの度に熱を出す母を少々もてあまし気味だったようで・・・
病院としてはもう治療は無いのだし、入院している以上リハビリでもしないことには色々まずかったのだろうが・・・
まぁ言うまい 言ったところで時間が戻るわけでもない
ぎりぎり短時間ならと車椅子に座ったままの施設入所への移動30分、ちょうど桜の季節だったのに桜が咲いていたのかどうかの記憶さえ無い
今、母に会いに走る同じ道、桜の木がたくさんある
桜、こんなにあったんだ・・・去年の桜の季節はすっぽりと抜け落ちている
そして今の母、手の痺れが残っているし、もともとリウマチで手首の変形が強かったり関節の可動域にかなり不自由なところはあっても、とりあえず自分の身の回りは自分でできるようにまで回復した(多分これ以上の回復は難しいと思われる)
思うようにはならないまでも、手はまあまあである
あとは足の回復を願うが、これがまた難しいことで・・・
生活のほとんどは車椅子に乗ったままではあるが、見守りがあれば十数メートルの歩行が出来るようになっている
歩けると言っても膝の関節の曲がりも伸びも充分でないために車椅子からバーに掴まって立ち上がり、膝が曲がったまま腰も曲がったままでの歩行である
それでもこの一年を振り返れば、よくぞここまで回復したと思う
とは言うものの
回復してくれば、人間贅沢なもので最近ではあれこれ愚痴が増えてきた
施設には認知症の老人も多く入所している
と言うかほとんどが認知の症状を持っていて、会話が少しづつ外れていったり自分の物とひとの物の見分けがつかなかったり
また、誰彼かまわず腕を掴んで放さなかったり突然後ろから他人の頭を叩いたり
そんな些細な事が気になるらしく行くたびに色々私に訴える
訴えられてもなんと答えたらよいものか
今の不満は、各部屋に入り込み物をポケットに入れて持って行ってしまう人が居ることのようで、身の回りのものをことごとく仕舞い込んである
仕舞い込んだところで、あちこち開けまわして物を持って行くわけだから意味が無い
すべての持ち物には名前が付いているので一時無くなっても夕方には介護職のお姉さんが取り返して戻してくれるのだから心配はいらないと話しても納得がいかないらしい
人間長く生きていて認知症の症状が出たときに、どこの回路が消滅してどこの回路が残るかなんて自分自身で選べるわけではないし
傍から見てちょっと迷惑な行動があったとしてもそれはご本人の人格とは別のところで・・・
その辺を理解してあげないとねと答えてみる
まぁそう言ったところで私の話なんか聞いちゃいない
一日中暇なんだからこれをどこに隠しておいたら持って行かれないか考えるのも頭の体操にはなるのか
母からすれば自分の訴えをちっとも親身になって聞かない娘も不満のタネかもしれないけどね
聞いたところでどうにもできないこっちの気持ちも考えようよ
ねぇ婆ちゃん 婆ちゃんったら!
お互いにひとの言う事を聞いてないんだから
お互い様(^-^)


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